国民投票法改正が見送りに。憲法改正の論点
どうもシャオムです。
今回は、憲法改正の論点をまとめたいと思います。
自民党は、2012年に改正憲法草案を出しています。ここでは1か所や2か所を改めるというのではなく、憲法全体に及んで細かい内容や文体が変更されています。
改憲は、国会で改正草案が出されたら、国民投票になるという仕組みです。いざ改憲されるときに、どのような草案になって出てくるのかはわかりません。
とはいえ、改正されるにあたってのポイントは、以下の4点に絞られているようです。
1.9条
第9条の原文は以下の通りです。
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
この条文に関しての論点は、「自衛隊が違憲かどうかが不透明」なことです。
ここに、2018年の自民党案には、以下の項目が追加されています。
第九条の二 前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。
② 自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
つまり、自衛隊を憲法に明記しましょうということです。この条文自体は、現状の自衛隊の存在を正当化するのみで、今までできなかったことができるようになるための根拠にはならない気がします。
2.緊急事態条項
現行憲法においては、緊急事態に関する内容は、「参議院の緊急集会」だけでしたが、2018年の自民党案では、「緊急事態に内閣が政令を出せる」ことが追加されています。緊急時に内閣の権限が拡大するということですね。
この草案では、「地震などの災害」に限られていますが、今後の動きでどうなるかには注目です。これによって、自衛隊の活動範囲が拡大する可能性もあります。
3.参院選の合区解消
合区とは、選挙の際、県をまたいで一つの選挙区が設けられることをいいます。2019年の参院選では「鳥取・島根」と「徳島・高知」が合区として存在しました。
地方の人口減少に伴って、一票の格差を減らすための措置として認められているものです。
自民党案では、これを解消し、地方の独立を守ろうという動きがあるようです。ただ、これは、自民党議員が地方の選挙区から多く出ていることから、批判されています。
4.教育の充実
前述の自民党案では、教育を受ける権利・義務を規定した26条に、次の第3項を追加しています。
国は、教育が国民一人一人の人格の完成を目指し、その幸福の追求に欠くことのできないものであり、かつ、国の未来を切り拓く上で極めて重要な役割を担うものであることに鑑み、各個人の経済的理由にかかわらず教育を受ける機会を確保することを含め、教育環境の整備に努めなければならない。
教育の充実を憲法で明文化しようということだと思います。
これに対する批判としては、教育を充実させることは、現行憲法から見ても国の当然の義務であり、わざわざ憲法に記す意義は薄い、というものがあります。はじめの2つの安全保障にかかわる改正に反対する国民に向けて、バランスをとるためのものだとも言われています。
以上が現段階での改憲の焦点です。改憲案が実際にどうなるかには、その時の政治情勢が大きく影響してくると思います。
しかし、憲法はいわゆる最高法規であり、すべての法律の根拠となるものです。これが時流に流されすぎて、一部の国民にとってのみ有益なものとならないよう、国民一人一人が総合的に判断する必要がありますね。