数学学習の段階【番外編:三角形の合同条件】
どうもシャオムです。
今回で「数学学習の段階」シリーズも最後になります。昨日の「二等辺三角形の底角定理」の証明で、三角形の合同条件を利用しました。
三角形の合同条件:
①3つの辺の長さがそれぞれ等しい
②2つの辺の長さとその間にある角の大きさがそれぞれ等しい
③1つの辺とその両端にある角の大きさがそれぞれ等しい
これらのうちの1つでも満たせば、2つの三角形は合同ということになります。今回は、本当にこの条件を満たせば合同なのか(数学の言葉でいえば必要十分なのか)を確かめてみたいと思います。
まずは、そもそも合同がどういう意味なのかを確認しておきましょう。合同の定義ですね。2つの図形が合同であるというのは、簡単にいえば、移動させればぴったり重なるということです。
今からやることは、先程の合同条件を満たせば、2つの三角形は本当に合同なのか、つまりぴったり重なるのかを考えるということです。
今回は試しに、③の条件について確かめてみましょう。
「1つの辺とその両端にある角の大きさが等しい」なので、まず同じ長さの辺を2つ書きましょう。
次に、今書いた辺の左端を通り、角度が同じになるように新しい直線を描きます。
赤の角の大きさが同じになっています。そして、「両端の角」なので、今度は最初に書いた辺の右端を通るような直線を書きます。このとき、この新しい直線と最初の辺とのなす角が等しくなるようにします。
これで1つの辺とその両端の角が等しい三角形が2つできました。さて、この2つは合同なのでしょうか。
まず1つ確かなことは、上の図で赤と緑で示した角以外の、残りの1つの角は、等しくなっているということです。
つまり、これら2つの三角形はまったく同じ形をしているということがわかります。まったく同じ形とはどういうことかというと、どちらかを拡大すればぴったり重なる図形(相似)ということです。しかし、拡大してぴったり重なる図形というのは、1つの辺の長さが2倍になれば、残りの辺もすべて2倍になります。つまり、全体が同じ倍率で拡大・縮小するということです。ということは、もし上の2つ三角形が大きさの違うものだったら、いま等しくなっているところの辺は、等しくなるはずがありません。裏を返せば、図で示した部分の辺の長さが同じならば、2つの三角形は確実にぴったり重なる(合同)ということです。
文章が複雑になってしまいましたが、三角形の合同条件を確かめてみました(直角三角形の合同条件は、上の三角形の合同条件から導けます)。厳密な証明からはかなり遠いですが、イメージのうえでの説明はこんな感じになると思います。定理を導くということの大切さが少しでも伝われば、幸いです。