検事長定年延長に関する論点
どうもシャオムです。
「国家公務員法等の一部を改正する法律案」が衆議院で審議入りしたことで、昨日(2020/5/9)から急に反対派の世論が強まっています。
今回の改正の内容と論点を僕なりに整理してみようと思います。
改正される法律とその内容
今回問題になっているのは「公務員の定年を60歳から65歳に引き上げるかどうか」です。公務員の定年に関してはその職種によって、様々な法律が規定しているので、それらを細かく改正する必要があるんですね。いくつか例を挙げます。
・検察庁法
・教育公務員特例法
・警察法
・自衛隊法
法案を国会に提出できるのは、衆参両国会議員か内閣ですが、今回の改正案は内閣から出されたものです。ここに、政権の政治的思惑が絡み、野党から反発が出ています。
反対派の論点
検察庁法の改正案によると、検事長の定年が63歳から65歳に延長されています。
現在、東京高等検察庁の検事長である黒川弘務氏は、今年2月に63歳になるとともに退職する予定だったのですが、閣議決定により半年間勤務を延長しています(2020/1/31日本経済新聞)。
これにさらに公務員の定年延長が加わることに対し、野党から「安倍政権のために法務を牛耳っている」と批判があがっています。
立憲民主党の枝野幸男氏は、他の公務員と検察官(=容疑者を起訴できる)の性質の違いから、検事長の定年を延長することに抗議しています。
以上からわかるように、反対派は「検事長・黒川氏の定年延長」に対して抗議していることがわかります。
賛成派の論点
では、これらの公務員の定年延長の正当性は、どこからくるのでしょうか。議案本文には、
人事院の国会及び内閣に対する平成三十年八月十日付けの意見の申出に鑑み、国家公務員の定年を段階的に年齢六十五年に引き上げる(中略)必要がある。
とあります。
では、この人事院の「平成30年8月10日の意見の申出」とはどんなものであったか。
人事院は、高齢層職員の能力及び経験を本格的に活用するため、定年を段階的に65歳に引き上げることが必要であると認めるので、(中略)国家公務員法その他関係法律を改正されるよう(中略)意見を申し出る。
つまり、公務員の公正な人事をつかさどる人事院が、「公務員も定年を65歳にした方がいいよ」と言っているということです。
本記事は論点の整理で終わりますが、「内閣が公務員全体の定年延長を審議にかけたのに対し、その中の検事長の定年延長が問題視されている」ということがわかります。今回は以上です。