業界研究シリーズ② 総合商社 ~ 総合商社って結局何してるの?~

 

 こんにちは。ダダオ&シャオムです。

 

業界研究シリーズ第二弾は、総合商社です。

 

第一弾でご紹介したコンサルティングと同様、こちらも学生たちに特に人気のある業界ですね。

 

「ラーメンからロケットまで」という言葉は総合商社を象徴した有名な言葉です。

 

多くの皆さんもご存知かと思います。

 

この言葉の通り、総合商社が取り扱っているビジネスの領域はこれでもかってくらい多

岐に渡っています。

 

今回は、この総合商社業界について概要をまとめていきたいと思います。

 

 

総合商社のビジネスモデル そもそもどうやって儲けている?

 

総合商社という名前は知っていても、意外とそのビジネスモデルを知らない方も多いのではないでしょうか?

 

総合商社は大きく分けて二つのビジネスモデルでお金を儲けています。

 

1、トレーディング

 

トレーディングとはシンプルに言うと仲介業です。

 

商品をAを売りたい会社Xと商品Aを買いたい会社Yがいるとします。

総合商社はこの会社Xと会社Yの間に入り、仲介業者の役割を果たします。

 

この取引の際、1) 手数料と2) 売値と買値の差額 (商品Aを会社Xから安く買って、会社Y

に高く売る) の二つで利益を生み出します。

 

この会社間の取引の中に、物流や広告、金融などの価値を付与し、ビジネスをよりスム

ーズにしていきます。

  

 

端的にまとめれば、

世の中には、鉄、銅、チーズ、自動車、文房具、洋服、機械部品など、様々な“モノ”が

存在します。

その“モノ”を売りたい会社(売り手)と買いたい会社(買い手)の仲介をすることで、儲け

ていく仕組みがトレーディングです。

 

 

2 事業投資

 

2つ目は、事業投資です。

 

事業投資は、大きく分けると直接的な利益間接的な利益に分けられます。

 

直接的な利益

商社は様々な企業の株式を保有することで、資金を提供しその企業の経営に参画します。

1) 投資した企業が儲かれば、株式の保有比率に応じて利益を受け取ることができます。

また、2) 持っている株式の売却によるキャピタルゲインでも、商社は儲けることができ

ます。

 

間接的な利益

また事業投資によって、自社と投資先企業や投資先企業同士のシナジー効果を得ることができます。

 

例)

パンの原料の小麦を輸入している商社、パンを製造している企業、パンを売るコンビ

ニ、物流系の企業を考えます。

これらの企業は、パンが生産されてから消費されるまでのプロセスに存在しています。

 

この企業たちに投資をすることで、ビジネスのシナジーを生み、より利益を上げていく

ことを目指す。

 

イメージはこんな感じです。

 

以上の2つの仕組みで、商社はお金を儲けています。

 

商社のビジネスモデルの原型は一つ目のトレーディングですが、インターネット技術の

発達とともに商社を仲介するビジネスが減少し、近年は事業投資が利益の多くを占める

ようになりました。

 

  

トレーディング、事業投資についてより詳しく知りたい方は、こちらのサイトが分かりやすくまとまっています。具体例を通じてイメージがさらに沸くと思います。

 

【総合商社】業界研究「まず"トレーディング"から知ろう」仕事内容を解説 | ビズリーチ・キャンパス

【総合商社】業界研究 「総合商社の本質とは?”事業投資”を理解しよう」 | ビズリーチ・キャンパス

 

 

 

 

 

総合商社の職種について

 

商社の職種は、総合職と一般職に大別できます。総合職は他の業界に比べて平均年収が

かなり高いです。三菱商事で平均1540万ほどです。

 

上述の通り、総合商社のビジネス領域は多岐に渡るため、配属先の部門によって関わる

仕事は大きく異なると思います。エネルギー部門、食品部門、繊維部門では、関わる人

も企業も事業も大きく違ってくるでしょう。

 

そのうえで、各部門にも共通している仕事内容でいえば、大きく3つです。

 

  1. 営業

いわゆる営業職のように自社が調達したものを売るだけでなく、複数の企業の事業と事業をつなぎ、ネットワークを構築するところから関わることもあります。ゆえに、他企業と接する機会が多く、高いコミュニケーション能力を要します。

 

  1. 事業企画

どのような事業を立ち上げ、どの企業に投資をしていくか企画・立案し、事業計画を立てる仕事です。ときには取引先企業の経営方針立案などにも携わるなどして、企業の経営を支援することもあります。動くお金の規模は数十、数百億円ということもあります。 

  1. 営業事務・貿易事務

営業担当者を助け、電話応対や書類整理などが主な仕事です。原料や製品の輸出入に際した、税関を通す業務(通関)に必要な手続きを担当する貿易事務の仕事も行います。英語での事務作業も多く存在します。

 

(https://job.rikunabi.com/contents/industry/904/)

 

 

一応上記のような職種分けは存在するものの、買ってきたものを高く売る営業から、新

規事業を見出すことまで、実際には様々な仕事を経験していくのが商社の特徴です。

 

ある程度経験を積めば、海外駐在が可能になることも商社勤務の大きな特徴の一つかも

しれませんね。

 

 

「常に時代やビジネスの流れを読み取り、儲かる仕組みを作っていけるか?」が鍵にな

っていくのが商社の仕事です。

 

 

 

 

会社四季報業界地図」による所見

 

業界地図の情報をまとめると以下の通りです。

 

・石炭や銅などの資源価格の上昇により、業界全体として業績アップ。

   やはり、資源市況が商社の業績に与えるインパクトは顕著です。

   資源の価格があがれば、それを売買している会社は儲かりますよね。

 

・自動車、食品、流通など、非資源分野での業績も好調さを見せる

       ファミマは伊藤忠、ケンタッキーは三菱商事など、様々なビジネスに商社がいま

       す。

 

・三菱、三井は資源事業からの利益が多い。他の企業では非資源からの利益が資源から

 の利益を上回っているのに対し、三井は全体の約70パーセントが資源による利益

 

・各資源に対する独占的な傾向が強く、

 それぞれの企業が各資源に対して権益を持っている

  

  例えば、石油が見つかれば大儲けですが、そのあめには新しく石油が採れる場所を

  見つける必要があります。資源開発には巨額な投資が必要なことを考えると、圧倒

  的な資金力を持つ商社だからこそ、資源ビジネスに関われると言えます。

 

・近年、理系出身者が企業の経営トップに登用されている (ex. 三井、住友、伊藤忠)

 テクノロジーの時代に入り、商社の事業自体も変化していく可能性ある

 

以上が業界地図の要点です。

 

 

総合商社の歴史 トレーディングは今に始まったことではない!?

 

ここで少しだけ、商社の歴史について触れたいと思います。これはもう雑談ですね。

 

時は幕末。

坂本龍馬が1865年に長崎で初の民間貿易会社となる「亀山社中(のちの海援

隊)を設立したのが商社のルーツと言われています。

この亀山社中はイギリスから軍需品や蒸気船を買って長州藩薩摩藩に提供していまし

た。= まさにトレーディングそのものですね!

 

その後明治維新を経て、三菱商事の前身となる九十九商会を岩崎弥太郎が設立します。

岩崎弥太郎亀山社中で会計係を務めた人物でした。

また同時期に、三井物産の前身となる先収会社を井上馨、益田孝らが設立します。

 

商社は明治初期には製糸業に欠かせない製糸機械、紡績機械、発電設備などを輸入し、

それを国内の会社に提供。そして、完成品の生糸、綿糸、織物などのを海外に輸出して

いました。 

明治後期から大正中期にかけては鉄鉱石や石炭など日本に乏しい資源を輸入し、重工業

の発展を支えました。

 

このようにみると、売買しているモノは違えど、トレーディングと言う仕組みは幕末も明治後期も、今も、大きく変わりません。

 

歴史を振り返ることで、なぜトレーディングなのか?そもそもの商社ってなんでできた

のか?といったことがよく分かりますね!

 

事実を点ではなく、線で捉える歴史的な視点は、“イマ”を理解するうえで大切な視点ですね。

 

 

主な総合商社リスト

最後に主な総合商社のリストを載せておきます。

 

五大総合商社:

1. 三菱商事、 2. 三井物産、3. 伊藤忠商事、4. 住友商事、5. 丸紅 

(純利益の高い順に記載: 2017年度)

 

三井物産伊藤忠を抜き、業界第二位となりました。

 

その他大手商社 (上記の5社に加える形で、八大商社と言われる)

 

6.双日、7.豊田通商、8.兼松

 

 

 

モノが作られてから売られるまでを網羅し、世界を結ぶ総合商社は、圧倒的な資金力と

ネットワークなどを兼ね備えた極めて盤石な企業です。

 

その一方で、いつかは枯渇しゆく資源、仲介業者を蝕むAmazonなどのe-commerce業界

の存在、様々なテクノロジーの台頭など時代が変化しているのも事実です。

 

潰れることはもちろんないでしょうが、この社会のダイナミクスの中で、これからどの

ように業界の舵を切っていくのか、興味深いものですね。

 

以上が、総合商社業界の概要となります。

 

読者のみなさんありがとうございました!!

 

次回は、少し気分を変えて、百貨店業界について考えていきたいと思います。

 

ダダオ&シャオム

 

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