仮定したことを見落とすな

どうもシャオムです。

昨日の確率の話で、くじを10回引いて当たりが出る確率を考え、そしてその考え方を、事故が起こる確率などにも利用してみました。たとえば、昨日の記事と重複しますが、車に乗って事故が起こる確率が0.1%ならば、100回乗ったら約10%の確率で事故が起こる、といった例でした。今回は、ここから、「仮定」ということについて考えてみたいと思います。

車の例で、見落としてはいけない一つの重要な事実があります。それは、車に1回乗って事故が起こる確率を0.1%と仮定しているという点です。仮定した瞬間に、それは現実とは違うものになります。もちろん、仮定することによって計算ができるようになり、モデルが組めるのですから、私たちは仮定するわけです。ただ、仮定したのを忘れて、できあがったモデルがいつでも現実に当てはまるかのように錯覚するのは危険です。

まず、車に乗ると言っても、どんな車に乗るのか、どこを走るのか、何分間乗るのか、ドライバーの技術はどうか、天候はどうかなど、さまざまな条件が、事故の発生に影響を及ぼします。これらの要因をすべて無視して、とりあえず0.1%と仮定しているのですから、もし現実で、このモデルの出した数値から外れた結果が出た場合には、仮定のどこがまずかったのかを検証できるようにしておかなくてはなりません。

そして、仮定するという考え方は、確率論以外でも有効な発想です。「新型コロナは冬には感染がより拡大する」と仮定すれば、冬にはより厳重な対策が必要になってきます。仮に冬に厳重な対策をおこない、感染を最小限に食い止めることができたとします。ある人は、「厳重な対策をしたおかげで感染が食い止められた」というでしょう。しかし、そもそも「もし新型コロナが冬に感染力を強めるなら」という仮定があったことを思い出すと、どうでしょうか。感染が少なかったのは、実はウイルスが、冬に感染力を強めるものではなかったから、つまり仮定が間違っていたからである可能性もあるのです。このように、仮定がある場合は、仮定が成り立たない状況というのが常に起こりうるということを念頭におかなければなりません。

私たちが手に入れる情報というのは、ほとんどが誰かによって加工されています。メディアで目にする多くの情報は、「○○は△△である」というようにシンプルなものです。しかし、その情報の背後に「もし〜〜なら」という仮定が隠れており、私たちに届くまでのどこかの段階で、意識されなくなっているかもしれません。このような、モデルと現実のギャップに気づくためには、何が単純化されているか、本当にいつでも成り立つのかというチェックをすることが重要です。抽象的な話にはなってしまいましたが、仮定を見落とすなという論点は、理解していただけたのではないかと思います。

f:id:honmadesukate:20200710151723j:plain