指示と評価の一体化を

どうもシャオムです。

教育実習などで授業を見てもらう機会があったとき、技術的な面でさまざまなアドバイスをもらいました。「集団授業は伝統芸能である」という記事でも書いたように、授業の技術というのは、あくまで授業のためのものとして割り切っているのですが、その中でも自分にとって重要なものがありました。それは、指示と評価の一体化です。これは授業に限らず、人に何かお願いをするときや、大勢を相手に話をするときに大事な姿勢であると思います。

指示と評価の一体化とは、たとえば次のようなことです。算数の授業で、円の性質を勉強しているとします。子どもたちに対して、「じゃあ、コンパスを使ってノートに円を描いてみよう」という指示を出します。授業の流れとしては、みんなが円を描けたらまた話を再開し、円の性質を説明していきます。円を書かせるのは、円の性質を考えるためのステップであり、この授業で円を描くのが目標というわけではありません。しかし、「円を描いて」という指示に対して、子どもたちが実際に円を描いて応えた場合、「描けましたね」などという評価をするべきです。このように、指示を出したら必ず評価するという考え方が、指示と評価の一体化です。

もし、円を描くように指示されて、円を描いたのに、それについて何も言われないまま次の指示が出されると、本来のコミュニケーションなら違和感があります。相手の指示や要望に従って行動したにもかかわらず、その相手から何もフィードバックが返ってこないというのは、どんな関係性であれ不自然なことです。

しかし、指示を出す側としての教師が、円の性質を説明するのにフォーカスしすぎていると、一つ一つの指示に対して評価することが疎かになります。教師としては、授業の目標は円の性質を理解することなので、それが理解できたかどうかを評価すれば良いと無意識に考えているのですが、そのような学習成果に対する評価とは別に、子どもとのコミュニケーションにおける評価を心がけておく必要があります。

授業という場面でなくとも、相手が自分に従うことが想定されているような場面では、注意するべきでしょう。こちらが出した指示や要望を相手が実行したとき、それに対してコメントすることが大切です。それを放っておくというのは不完全であり、物話にオチがついていないようなものです。不完全なコミュニケーションというのは、人間関係を良くしないでしょうから、どんな関係性であれ、指示と評価のセットということは、心がけておきたいものです。

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