問題を作ってみよう②

どうもシャオムです。

「問題を作る能力」の話を続けておりまして、前回はペリーの問題を作るプロセスを考えてみました。今回は、また違ったタイプの「問題」を作ってみたいと思います。

今回は、数学についてです。まずは次の説明を読んでみてください。

2つの変量 x、y について、x が2倍、3倍・・・になると、yも2倍、3倍・・・になるとき、「y は x に比例する」という。

これは中学1年の、比例の定義を学ぶところの内容です。では、この比例の定義を理解しているかを問うために、最も適している問題を使っていきましょう。たとえば学校なら、「比例の定義を理解している」かどうかが一つの評価の規準になります。しかしそれを評価するためには、「この問題を解けたら比例の定義がわかったことになる」というだけのふさわしい問題でなければなりません。

これはどうでしょうか。

Q 1、x が2倍、3倍、・・・になると y も2倍、3倍、・・・になるような関係を何というか。

定義を知っていれば素直に解ける問題です。ただしこれは、定義を覚えていれば解ける問題であって、理解しているかどうかをはかるにはやや不十分といえます。文を覚えるだけなら、数学がわかっていなくてもできるからです。

では次はどうでしょうか。

Q 2、次の表によると、x と y の関係は、比例であるか、反比例であるか。

x 2   3   4   5   6   7   8

y 10 15 20 25 30 35 40

この問題では、x が2倍になれば y も2倍になっているので、答えは「比例」になります。Q 1に比べると、実際の数値から2倍、3倍というようすを調べて考えなければならないので、暗記ではなくちゃんと理解しているかを確かめることができています。問題の形式としては、ふさわしいのではないかと思います。ただ、答えが「比例」か「反比例」の2通りしかないので、当てずっぽうでも5割の確率で正解してしまいます。この場合、最後に「比例でも反比例でもない」という選択肢を追加すると、より精密な問題になります。

最後にもう一つの例をあげたいと思います。

Q 3、次のうち、比例の関係にあるものはどれか。

ア、ろうそくの長さと燃えた時間

イ、正方形の一辺の長さと面積

ウ、新幹線の走行距離と走行時間

エ、100円玉の枚数と金額

100円玉が2枚なら200円、3枚なら300円となっているので、答えはエになります。ほかのものは比例にはなっていません。これは、問題の質としてはどうでしょうか。これは比例の定義を理解していないと解けないことには違いないので、評価の規準としてしっかり機能します。しかし、Q2に比べると、難しくなっています。なぜなら、比例の定義をわかっていたとしても、「100円玉の数が2倍になったら金額も2倍になるだろうか」ということを一つ一つ考えていかなければならないからです。もしそこで躓いてしまえば、比例の定義がわかっていても間違えてしまいます。Q 3は、それぞれの数量の関係を自分で考えるという思考を必要とする、応用的な問題ということです。

以上、見比べてみていかがだったでしょうか。相手の理解度をはかりたい場合、Q1なら正解しても本当に理解しているか確かめられないのに対して、Q 3なら不正解であっても理解している可能性はあるということになります。何を聞きたいのか、また何を評価したいのかに照らして最適な問題を設計していくことが必要であることがわかっていただけたのではないでしょうか。

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