読書録「日本の公教育」中澤渉

母の日ですね。うちでは妹がお花を買ってきたので僕はケーキでも買いにいこうかと思います。


中澤渉「日本の公教育」(中公新書)を読みました。学校教育の現状と課題がとてもわかりやすくまとめられていたので紹介します。

筆者の主張は多岐にわたっていて、一つの議論というよりも教育制度を考えるヒントが散りばめられている一冊でした。



1章 学校制度の歴史

・近代の学校は、子どもを大人から切り離し、子どもを保護し教育する機能を持つようになった。

・それ以前にも知識を付与する機関としての学校は存在したが、子どもは単に未熟であるとみなされていただけで、ある程度成長すれば大人として働いていた。

・子どもの教育機関としての学校の成立とともに、教育における家族の役割は限定された。


2章 自由競争と教育の平等の矛盾

・先進国では、親の経済力に応じて高いレベルの教育にアクセスできるようになった。同時に格差が生まれ、問題視されるようになった。


3章 教育分野のデータの扱いについて

・教育政策は、統計から得られるエビデンスに基づいて選択されるべきである。

・民主主義にとって、市民がエビデンスを読み取る能力を身につけることが重要である。

・教育政策は身近な分野であるだけに、エビデンスを読み取る能力を養う良い材料になる。


5章 教育の限界

・日本では社会問題の原因を教育に求める傾向があるが、十分な制度的支援もない中で現場が責任を負わされていたり、政策がおこなわれても効果的な検証がされないまままた新しい政策がおこなわれたりしている。教育にできることとできないことを立て分けて、社会全体として取り組んでいかなければならない。

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