選挙の意味を考えよう

どうもシャオムです。

都知事選が行われましたが、皆さんどのように感じられたでしょうか。

大きな選挙が近づくたびに、SNS上では「選挙に行きましょう!」という呼びかけが目に入るようになりました。「あなたの一票が政治を変えます!」とか「若者の政治離れが深刻だ」とか、もう見飽きました。こういう発信は価値あるものですが、これを見て選挙に行ったところで、人々が選挙の価値を実感することはないでしょう。自分の一票で果たして何が変わるんだろうか、などと考えたところでしょうがないので、今回は、社会全体にとって選挙がどういう役割をしているかを考えてみましょう。

 

選挙の目的は、言うまでもなく議員や政党、首長を選ぶことです。票が多く集まった者が選ばれるというルールになっています。なぜ、選挙をしなければいけないかというと、代表制といって、議会で政治をするのは国民一人一人ではなく、国民を代表した議員だからです。つまり私たちは代表を選ぶことはできても、直接法律づくりに携わることはできません。「あなたの一票が政治を変えます!」という言葉の裏には「あなたが政治にかかわる方法は選挙だけですよ」というメッセージが含まれています。

 

では、私たちが政治にかかわる方法は、本当に選挙だけでしょうか。国民が行える政治行為の一つにデモがあります。政治に対して不満がある人々が、集会をしたり行進をしたりします。デモに行ったことがない人からすると、「別にそこまで不満があるわけではないしなあ」くらいに思っているかもしれません。しかしよく考えてみると、デモは政治家を変えるためにやっているのではなく、世論を変えるためにやっているのです。これを理解しないと、自分たちと政治との間の関係が見えてこないです。

政治家の立場からすれば、デモに500人が集まって要求をぶつけられたとしても、その意見は聞くに値しないものです。なぜなら、政治家にとって重要なのは、その500人の意見ではなく、有権者全体の票だからです。つまり、500人が変えたいと思っていることでも、残り大多数が興味がなければ、政治家が動く動機がありません。デモというのは本来、「政治家のみなさんよろしくお願いします」ではなく、「みんなも変えたいと思いませんか?」という有権者に向けたアピールなのです。デモ隊のアピールによって世論が変われば、もちろん選挙の争点に影響が出ますし、政治家は動かざるをえません。

ここまでくるとわかるのは、政治にとって本質的なのは、選挙でもデモでもなく、世論だということがわかります。デモは世論を作る一つの手段であり、SNS上での発信など、国民には他の手段も残されています。政治=選挙というよりも、政治=世論形成と捉えた方が、国民にとってはしっくりくるのではないでしょうか。

 

そして最後に、これまでの話を踏まえると、選挙にはどのような機能があるでしょうか。それは、世論を数にまとめて公表するという機能です。どの政党に何票入った、誰に何票入って当選した、というデータは、有権者が何に興味があるのかという意思のデータといえます。選挙に行く意味は、代表者を選ぶとともに、一人の国民としての意思をデータとして提供するということにもあるのです。

以上、選挙と政治についてお話しました。自分たちと政治の関係を考えるヒントになれば幸いです。

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