わかりやすい授業が価値を失う

どうもシャオムです。

高校時代、好きな授業はありましたか?また、嫌いな授業はありましたか?今回は、もし自分が今高校生なら、学校の授業をどう受けるべきか、という目線で、授業にどんな価値があるのかを考えていきたいと思います。僕は数学の教師になるので、数学の授業を例にお話しましょう。

まず、数学の授業の本質的な価値はなんでしょうか。多くの人が思う通り、それは、数学を教われることです。数学を学ぶ方法はいろいろあって、本を読むことがメインではありますが、対面で教えてくれる人がいるというのは一つの価値になります。

では、数学を教えてもらうということの中身を詳しく見ていきましょう。

1. 自分で本を読むだけではわかりにくい内容を、わかりやすく説明してくれる

2. 自分の知らない数学のおもしろさや楽しさに気づかせてくれる

3. クラスメイトと一緒に勉強する機会が得られる

こんな風に、数学の授業の価値が3つの観点で表せるのではないでしょうか。

しかし、題名にも書いた通り、1の面だけをとれば、学校の授業よりもYouTubeの動画の方がわかりやすいです。もしかしたら2に関してもそうかもしれません。YouTubeの方がわかりやすい理由はシンプルです。学校の先生はどれだけ授業をわかりやすくしてももらえる給料は同じですが、YouTuberはわかりやすい動画を作れば作るほど収益が上がるからですね。もちろん、トップYouTuberよりも面白くてわかりやすい授業をしている学校の先生はたくさんいると思います。しかし、マクロレベルで見て、YouTuberがわかりやすさにおいて上回るのは当たり前です。

このことを踏まえると、数学を理解したいなら学校の授業を受けるよりは、YouTubeを見たほうが効率的ということになります。2の面白さや興味を引きつけるという点においても、優秀なYouTuberがいるかもしれません。

以上のことを前提にすると、学校の授業によって得られる価値は明確になってきます。どうせ過ごさなければならない数学の授業時間をどうやって過ごすかという視点で考えましょう。

第一に、自分でYouTubeを見るのが面倒な場合は、学校の授業を聞くことが有意義になります。授業時間で少しでも数学が理解できれば、授業を聞く甲斐がありますね。

第二に、YouTubeを見て勉強するという人は、授業時間に何をするのかを考えないといけません。授業を予習や復習と捉えて勉強する、周りに人がいるという環境で議論や発表をすることに価値を置く、授業以外の時間が忙しいので数学の授業を睡眠時間に当てるなどの行動のとり方があると思います。要は、学校の授業に「わかりやすさ以外の何か」を見出す必要があるということです。

 

次に、じゃあ教師としては何を目指すべきかを考えてみます。昔に比べて、説明がわかりやすいということの価値は下がっているので、それ以外の価値を付けていくべきです。「数学を理解する」という目標から「数学のおもしろさを体験する」「数学を学ぶ意義を考える」「数学を通して何かを学ぶ」という目標へと重心を移す必要があるということです。

数学の授業には、数学の勉強以外の価値があることも認識するべきでしょう。たとえば、授業があることによって、生徒はその間一定の居場所を得ることになります。また、私たちは学校という仕組みに縛られているので、そこから外れようとすると負荷が発生します。たとえば、テストで同じ90点を取るにしても、授業をまじめに受けて90点を取るのと、授業はすべて居眠りして90点を取るのでは、学校での評価は変わってきます。このように、学校の授業には、それ自体の価値とは関係なく生徒を拘束する力が作用しています。教える側としては、このことも把握しておく必要がありますね。

 

以上、学校の授業というテーマでざっくりと考えてみました。学校の役割や教師の役割を考えるうえで、重要な要素だと思います。ではまた。

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