大事な情報ほど、理解するのがむずかしい

どうもシャオムです。

個別指導の塾で働いていると、ときどき文章を読むことに大きなストレスを感じる子どもがいます。これは、今僕が書いているブログのようなまとまった文章だけを指すのではなく、たとえば数式やグラフなど、なんらかの情報が入っている視覚的なもの全般のことを言っています。一目見て内容がわかる「記号」や、映像や画像、看板やポスターのイラストなど頭を使わなくても理解ができるものは、これには含みません。とにかく、僕らが書いている文章や発信している情報は、ちょっと頭を使って読まなければいけないものだということです。このような情報のことを、今回は「むずかしい情報」と呼ぶことにしましょう。

何か家電製品が壊れた時、保証書や説明書を読んだりするのは、多くの人にとって面倒なことではないでしょうか。また、役所に行ってする手続きの多くは、かなりの労力を使います。これらの「むずかしい情報」を理解するという営みは、普通に教育を受けた我々でさえ少し大変に感じるものなのです。

「むずかしい情報」をめぐる問題はいろいろあります。まず、「むずかしい情報」は、しばしば大事な情報です。役所の手続きがなぜ多くの人にとって面倒かというと、それが皆がしなければならない大事なことだからです。しなくて良い手続きならしていないでしょうから。新型コロナウイルスの感染状況について、大切な資料はいろいろありますが、特に重要だと言われるのは、病床使用率、PCR検査数に対する陽性者の割合、感染者数に対する感染経路不明者の割合などです。しかし、新聞やテレビのニュースのトップに毎日躍り出るのは、皆が知っている通り、その日の新たな感染者数です。なぜ新たな感染者数のほかに重要な情報があるにも関わらず、それが報道されないかというと、それが「むずかしい情報」だからです。メディアはそれを受け取る人のためにあるので、受け取る人が理解できない情報は提供しないのです。このことからも、「むずかしい情報」は重要な情報であることが多いことがわかると思います。

次に、「むずかしい問題」は重要なので、むずかしくてもなんとか頑張って理解したり、誰かに伝えたりする必要が出てきます。情報の受け手側に立って考えると、「むずかしい情報」を理解できるようになるために、教育が重要になります。学校で習う基本的な読み書き計算は超重要ですし、もっと広いレベルで言えば、情報リテラシーや主権者としての意識などを身に付けることが大切です。これらの能力を高め、「かしこく」なることによって、「むずかしい情報」を理解するハードルが下がっていきます。

情報を発信する側に立って考えるとどうでしょうか。これは僕もブログを書き始めるまでは意識していなかったのですが、自分が発信していることが「むずかしい情報」であるという認識はとても重要です。たとえば、毎日ブログを書き続けられるのは、それを読んで理解してくれる人がいるからです。ブログの文章を理解するには、読解力に加えて記事のテーマに関する背景知識も必要です。発信する側は、情報を受け取る人が越えなければいけないハードルをちゃんとわかっていなければいけません。小学生にいきなり微分積分を教えても、何も起きないのと同じことです。私たちが何かを本当に伝えたいときには、情報を受け取る側がそれを理解できるような配慮が欠かせません。背景知識を説明する、興味を引き付ける、簡単な言葉を使うなど、本当にいろいろです。

最近は情報をテーマにした投稿が多くなっていますが、今回は「むずかしい情報」をめぐる問題について考えてみました。みなさんが本当に得なければいけない情報を得たり、伝えたいことを伝えたりするヒントになれば幸いです。

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