仕組みを理解するのが苦手な人について

どうもシャオムです。

このブログでは、たびたび仕組みを理解するということについて書いています。「学ぶ」ということを一つのテーマにしてやっていますが、それは仕組みを理解するということと大きく関係があります。実際のところ、学校で教えられる教科でも、数学はあらゆる構造というものの基礎ですし、理科は自然の仕組み、社会科は社会の仕組みを理解するということが一つの大きな目標であると思います。先日、塾で授業をしているときに「仕組み」について考えさせられる出来事があったので、今回はそこから話を進めたいと思います。

個別指導で、中学3年生の生徒2人に英語を教えていたときのことです。その日の内容は、「分詞の後置修飾」についてでした。たとえばこんな文です。

 

The girl playing tennins is my sister.

テニスをしている女の子は私の姉です。

 

僕はまず右側に座っている生徒に、文法を説明し始めました。この文法を説明するのに、まず文全体の主語と動詞を指摘させます。英文の "the girl" が主語、 "is" が動詞です。和文でいうところの「女の子は(私の姉)です」の部分にあたります。

次に「テニスをしている」という部分は、「女の子」を修飾しているということに注目します。そして上のように「テニスをしている」"playing tennis" の部分に下線を引いて、その部分は文の中で補助的な役割をしていることを理解します。

最後に、文の構造と語順を理解するのが目標になりますが、"playing tennis" は、それが修飾している "the girl" の直後にきます。修飾する方のフレーズは修飾される名詞の直後に置く、というのが結論になります。

この右側の生徒は、勉強の習慣がついておらず、英語でも単語や英文を覚えることが苦手です。しかし、英文法の構造についての理解は悪くなく、理解した直後であれば問題を正確に解くことができます。今回の分詞の問題も、おおむね正しく解いていました。

一方、左側の生徒も同じ範囲を勉強していました。僕は右の生徒がよく理解してくれたので、同じ流れの説明を左の生徒にもしました。しかし、その子は仕組みを理解するということがかなり苦手でした。勉強においては、「記憶する」ことは比較的得意ですが、文法や数学の法則はなかなか理解できません。学校のテストでは、どの教科も知識だけで解ける問題を中心に点を取っているようなタイプの子でした。僕がした分詞の説明も、よく理解できていませんでした。まず修飾・被修飾の関係という概念がわかっていません。とはいえ、たしかに仕組みを理解することは重要ですが、英語に関しては、コミュニケーションができることの比重が大きい科目でもあります。その子は今までの様子からして、きっと環境や人の気持ちの細かい変化を感じ取る能力が高く、英語の勉強でも実際に話してコミュニケーションをしたり、文章全体の雰囲気をつかんだりすることは比較的得意です。この2人の英語の勉強を通して、率直に、学び方というのは人それぞれだなあ、と思いました。

ここからが本題なのですが、今回の左の生徒のように、仕組みを理解するのが苦手な人がどのように学んでいけばよいかという問題です。僕にとって仕組みを理解することは学びの本質なのですが、そうなるとこれが苦手な人は学ぶ意味がないという話になってしまいます。彼らにとっては、このブログの記事も大半は面白くないかもしれません。おそらく学ぶ意義は人それぞれでしょうし、意義を見出すことが良いとも限りません。おそらく僕は今までの経験から、何のために学ぶかという問題にシビアになりすぎているのかもしれません。本来は、すべての人に学ぶ権利があるということ自体が大切なんだろうと思います。

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