ルールは何のためにあるか

どうもシャオムです。

学校に関わることが多いと、ルールについて考える場面がよくあります。校則のように成文化されたものもあれば、「学校ではふつうこうするものだ」というような暗黙のルールもあります。存在する必要のないルールがあるせいで、行動が制限されるようなことも多々あります。何の意味があるかよくわからないマナーなんかもありますよね。今回は、こういったルールの機能には何があるかを考えていきたいと思います。

一度、野球のルールに沿って考えてみましょう。

①野球そのものを成り立たせるルール

野球は9回まで、3ストライクで1アウト、打球が地面につく前に捕球したらアウトなど。これらは、野球というゲームを成り立たせるために必要なルールです。これがなければ、プレーヤーはどうして良いかわからなくなります。言い換えると、野球というスポーツをもっともスムーズに進めることができるように決められたものといえます。

②公平性や相手の自由を損なう行為に対する罰則

たとえば、ランナーが、打球を捕球しようとしている野手にタックルしてアウトにならなかった場合、守備妨害としてランナーはアウトになります。このように、プレーをスムーズ行うのを妨げるような行為に対しては、罰則が与えられます。これは国の法律で言うと刑事法のようなものです。人のものを盗んだら懲役〇年とかいうルールですね。もちろん、このような罰則が決められていないとなんでもやり放題になってしまうので、ゲームは成り立たなくなってしまいます。その意味では、①と②の区別はそこまではっきりしたものではないでしょう。

③争いを調整するためのルール

上の2つのルールでは解決できないようなプレーが起こったとしましょう。審判の判定に対して、どちらかのチームが納得できない場合などです。内野ゴロがアウトと判定されましたが、攻撃側のチームが不服で、今のはセーフじゃないかと申し出たとします。守備側のチームはもちろんアウトだと主張しますから、何らかの調整が必要になってきます。このようなよく起こりうるもめごとに対しては、調整をするためのルールが定められることがあります。たとえば、プロ野球では何年か前から、アウトかセーフかの判定に「リクエスト」といってリプレイ検証して確かめるというルールがあります。「リクエスト」が申し込める回数は決まっていて、ゲームのバランスを損なわないように考慮されています。現実社会でも、民事訴訟法、刑事訴訟法と言って、裁判を行うためのルールが定められています。

 

法律に照らして考えると、以上の3つのようなタイプがあるのではないかと思います。これに加えて、「こうした方がみんなが気持ちよくプレーできる」や「こうした方がかっこいい」みたいな理由で存在している暗黙のルールがあります。たとえば、「5点差以上で勝っているチームは盗塁すべきではない」というものもありますし、「バッターはキャッチャーのサインを見るべきではない」というのもそうです。これらはルールというよりマナーと呼ぶ方がいいかもしれません。確かにマナーは社会生活をスムーズにするものですが、一方で私たちの行動の幅を狭めます。「特定の場所に行くときはスーツを着なければいけない」というマナーは、本来、相手に対する敬意を表すためのものですが、そのせいで自由は制限されるし、生活は不便になります。また、このマナーを守らないことに対するネガティブな感情を生みます。このような現象は、ルールを決めることの副作用と言えます。新たなルールが生まれるというときには、それを守らなければならない人は、そのルールが自分たちの権利を侵害しないのかどうか、しっかり考えておくことが重要です。

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