Wikipediaの学術的な使い方

どうもシャオムです。

ブログを書いていると、いつも「出典」という問題に直面します。執筆者としては、何か情報や意見を書くときに、それは誰が言っていることなのかを明らかにする責任があります。「自分はこう思う」という内容であれば、もちろん出典を書くことはないですが、もし書いた内容が、僕がどこかで見たことや聞いたことならば、その出典を示さなければなりません。学術的な記事や論文で、誰かの書いたことを断りなく自分のものとして書けば「剽窃」として処分されます。これは学問の正統性や尊厳に傷をつける行為とみなされています。個人ブログであれば、学術という世界とは別ですが、今度は著作権という問題になってきます。いずれにしても、自分のものではない意見やデータは、必ず出典を書いたうえで、その人のものとして紹介しなければいけません。

昨日の都市の成り立ちの記事では、Wikipediaを引用し、都市が成立する条件をいくつか紹介しました。何かについての知識を手っ取り早く得たいとき、Wikipediaのようなウェブ上の百科事典は大変便利です。しかし、学術レポートや論文を書いたことのある人なら知っていると思いますが、Wikipediaは学術界では、信ぴょう性のある文献とはみなされていません。つまり、Wikipediaを引用したり紹介したりしたとしても、それは自分の議論を補強するだけの材料にはならないということです。

これはなぜかというと、Wikipediaが誰でも編集できるサイトだからです。Wikipediaは自らの正確性や妥当性を保証するために、誰かが編集した文章をチェックする機能を持っているはずです。しかし、編集者が○○大学の△△という学者のような学術界で「お墨付き」をもらった人ではないので、サイト自体が信ぴょう性のあるものとしてみなされることは今のところないのです。

しかし、Wikipediaの記事自体に完全な信ぴょう性がないとしても、それを勉強や調べものをするときに活用することはできます。なぜなら、Wikipediaの記事には「参考文献」という項目があり、記事の内容が何に基づいているかを示してくれているからです。

たとえば、都市の成り立ちについて調べようと思って、Wikipediaの「都市」というページを見てみます。すると、「都市の成立条件」という項目があり、そこには「平野には都市ができやすい」ということが書いてあります。そして、ここが一番重要ですが、ページの最後の「参考文献」の項に、先ほどの平野の説は『□□』という名前の教科書から引っ張ってきましたということが書かれているのです。つまり、Wikipedia自体を引用して学術的な文章を書くことはできませんが、Wikipediaを通して基本的な知識を収集し、その参考文献から学術文献に飛んで、その知識の正確性を確認することができるのです。そして、その文献を自分の参考文献として直接使用すれば、きちんと文献を参照して書いた文章として認められます。

このように、Wikipediaを直接参照するのではなく、「参考文献にたどり着くためのガイドライン」として活用することによって、有効に、そして合法的に、執筆に役立てることができるのです。大学の勉強などで、文章を執筆することがある人は、ぜひやってみてください。

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